
個人情報に配慮して症例を記載しています。
症例
薬剤費の事例で考えている内容になります。
すごく突っ込まれそうな考えを書いているので、優しく見てください!
患者:80歳代、男性
社会背景:施設(老健)に入所中
既往歴:脳梗塞(確か)
経過:
20XX/7
肺炎の疑いで当院呼吸器内科に入院、抗生剤治療を施行。
入院中にCOPDの既往があることが分かり、吸入薬を導入。
吸入指導実施し、継続可能と判断された。
医師の情報提供書に「吸入追加」の旨記載し、もとの施設へ退院された。
20XX/9
当院消化器外科に手術目的で入院。
持参薬鑑別を行うと導入されたはずの吸入薬を持参していないことに気づく。
調剤している保険薬局、入所中の施設看護師へ連絡した所
貴院を退院後、吸入薬は中止となりました、と回答があった。
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推測と薬価
まずこのやりとりを行った登場人物ですが
呼吸器内科で吸入指導したのは、後輩くんです
消化器外科で薬剤鑑別をし、問い合わせをしたのはわたしです。
プライマリ・ケアを心がけている方ならピンとくると思いますが
問題は「薬剤費」なんですね。
吸入薬は特に問題がなければ、人生を終えるまで吸入する場合もあります。
そして1月に1本と言えども、かなりな薬剤費になります。
フルティフォーム®120吸入用 → 約5,600円
スピオルト®レスピマッド®60吸入用 → 約7,100円
レルベア®200エリプタ 30吸入用 → 約6,000円
アドエア®250ディスカス 60吸入用 → 約7,300円
テリルジー®200エリプタ 30吸入用 → 約10,000円
とこの様に、含有成分、量などで誤差はありますが概ね5千円以上しますね。
シムビコート®はついに後発品のブデホルが発売され2000円くらいの薬価になりましたが
まだまだ上記薬剤は値段が高く、施設によっては継続できないこともあるようです。
今回の症例もそれだったと思います(確認は取れていないので、あくまで想像です)
ではどうする?
この場合、薬剤師としてどうすればよいか
値段を抑えられる、ブデホルに変えることが薬価的には一番抑えられますね。
適応はBAとCOPD両方を持っています。
では、DPIを吸入できない場合は?
p-MDIの後発品はまだ出ていないのが現状です(2021年11月20日 21:45現在)
施設に入るような高齢者が、吸入力がバリバリ高いことなんてあまりないですよね?(偏見)
お茶を濁すように、β2アゴニストの貼付剤を貼って帰すことも経験であります。
そしてこの症例の方も、p-MDIであったため、継続が難しく中止となったと推測します。
まとめ
施設で薬が出せない問題は
今に始まったことではありません。
極論を言いますが、そもそもこの80歳代の男性に吸入薬は必要だったのでしょうか?
今後の予後、国の医療費、施設での対応を考えると
もしかすると吸入開始は不要だったかもしれません。
これは治療を否定しているわけではありません。適切に検討すべきだと思っているわけです。
当院が大学病院であることも、関係していることがあるとおもいます。
非常に難しく、今後も起こりうる問題ですので、ずっと考えていきたいです。
まとまりがない
まとめでしたが
こういう困った症例をみんなで共有しつつ
ポリファーマシーへのSTOPP criteriaならぬ(スペルあってる?)
施設入所中の高齢者へのSTOPP criteriaを考えたいですね。
今日はこのへんで
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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