こんにちは^^
いつもアルココブログを御覧いただきありがとうございます^^
新シリーズ「(病院)薬剤師がいる日常」の第2回になります。
タイトルに有るように、入院したときや外来を受診したとき等に使用する
「点滴」についてのお話です。

何この透明の液体!聞いてないわ!

心配を取り除くために丁寧に説明します。
さて今までこのシリーズは0回、1回と投稿してきました。
両方とも多くの方に御アクセスいただけており、感謝しかありません。
ご指摘等ありましたらよろしくお願いいたします。
ではやっていきしょー^^
第0回はこちら
第1回はこちら
はじめに
みなさん、「点滴」というものにどういうイメージをお持ちですか?
私は小さい時、よく熱をだすと点滴されていたので良いイメージがありません^^;
イメージとして例えば
「腕に針を刺して、何か透明な液体が流れてくるやつ?」
「熱が出たときとか、入院中にやるものかな?」
という感じでしょうか?
もし悪いイメージをお持ちの方がいらっしゃったとして、
気持ちの変化を促せるかは微妙ですが、
点滴を準備する、混ぜる(混注)、投与するという病院薬剤師の仕事を
お伝えできればと思います。
なお、投与するのは看護師さんの仕事なので、今回は看護師さんも登場します^^
ではやっていきましょう。
まずは「点滴とは」というところから書き始めていきます。
そもそも「点滴」ってなんだろう?

何この透明の液体!聞いてないわ!(2回目)
点滴とは、薬や水分、栄養などを体に直接届ける方法のひとつです。
腕の血管に細い針を刺して、チューブを通してゆっくり体内に液体を入れていきます。
飲み薬のように胃や腸を通る必要がないので、
- 水分補給が必要なとき(脱水など)
- 体力が落ちていて飲み薬が使いづらいとき
- 薬を早く、確実に効かせたいとき
- 栄養を直接とる必要があるとき(食事ができないときなど)
などに使われます。
「ただの水」と思われがちな点滴ですが、
実はその中にはナトリウム、カリウム、糖分、抗菌薬、鎮痛薬など、
さまざまな成分が目的に合わせて調整されているんです。
病状に合わせて点滴を使っていくわけですね^^

よくわからないわ!!

俺はなんとなくわかったぜ☆

ありがとうございます^^;
みなさんはなんとなくわかっていただけましたか??
さて次は実際にあなたの病室、外来のベットに届くまで
どの様に点滴を準備しているのかの話に入っていきます。
これは病院によって若干違ってくるので、ご参考までに^^
点滴の準備
病院では、毎日たくさんの点滴が使われています。
薬剤師は1人ひとりの患者さんに合わせて、必要な薬や点滴を取り揃え、
注射カートにセットして病棟に届ける準備をしています。
注射カートは↓のようなものです

この注射カートを簡単に言うと、
「患者さんごとに必要な点滴をまとめて載せたワゴン」です。
1つの病棟には40〜50人ほどの患者さんが入院しており、
1人あたり1日数本の点滴が使われるため、
非常に多くの薬を正確に、かつスピーディーに準備する必要があります。
たとえば、500mLの点滴バッグは1つで約0.5kg。
それが何十本も集まると、かなりの重労働になります。
実は、点滴の調剤は体力勝負の一面もある仕事なんです。
基本的に点滴の調剤は飲み薬の調剤と一緒で、調剤者と監査者のダブルチェックで行います。
主な仕事としては・・・
調剤者:指示された薬や点滴を正しく取り揃える人
監査者:取り揃えが正確か、安全かを確認する人
という感じですね^^

今回も俺の出番ない??

ちょっと難しいね^^
続いてこの準備段階で、何を確認しているのかの話ですが
こんなところをチェックしています・・・
調剤の際には、単に「処方通りに調剤できるか」だけではなく、
以下のような専門的な判断も行っています
- この抗菌薬は、この点滴じゃない方が安定するのでは?
- この患者さんはナトリウムやカリウムの値に注意が必要だから、点滴を変えた方がよさそう
- この点滴とこの点滴は一緒に混ぜると変化が起きるから避けるべき
こうした気づきから必要に応じて医師や看護師に相談し、処方の見直しを提案することもあります。
このような手続き?を踏んで
病棟に点滴を払い出すわけですねー
そして払い出した点滴は、病棟の看護師さんたちの手によって
患者さんに実際に投与されるわけです。

早くあたしの点滴入れてよ!
確認が多すぎてバスが行っちゃうわよ!(外来)

バスに乗れるほど元気であれば、点滴はしませんよ^^^^

まっ!失礼しちゃう!

このおばちゃん大丈夫かな。。。
病棟に払い出した後
薬剤師が準備した点滴は、
「注射カート」にまとめて病棟へと運ばれます。
ここで登場するのが、看護師さんです。
注射カートが病棟に届いたら、看護師さんたちが処方内容の確認を行います。

けっこう大変な業務です。
夜勤で来て、注射チェックするのだるい人多いと思う。

薬剤師がチェックしたから、見なくて良いんちゃう??

点滴を準備した後に、追加や変更があるので最終チェックは必要なんです。
特にICUといった超急性期の病棟や
手術をよく行う病棟では、点滴が変更されないことはありません。
それは刻々と病態が変化するので、点滴もそれに合わせて追加・変更しなくては行けないからです。
看護師さんたちが点滴をチェックするポイントとして
具体的には
- 「明日朝の時点でこの薬はまだ必要か?」
- 「新しい点滴が追加されていないか?」
- 「この薬は中止になっていないか?」
などを、最新の医師の指示(オーダー)と照らし合わせてチェックしています。
このダブルチェックがあることで、
点滴の投与ミスや、不要な薬の使用を防ぐことができるのです。
通常注射カートは翌日使用する分の点滴を払い出してあります。
例えば5月2日に調剤しているのは5月3日に使用する分です。
前日に作っているので、変更が多いんですね。
そのためにチェックが必要というわけです。
看護師と薬剤師の協働

この点滴(メイン)の脇からこの抗菌薬投与(側管)しても良い?

ちょっと良くなさそうです。ルートつまりそう

何このやり取り
このやり取りは、配合変化を確認しています。
少し説明する前に、
点滴用の薬剤は「アンプル」や「バイアル」といったガラス瓶に
粉末(もしくは液体)として入っています
これらの薬剤を
点滴で血管に投与する場合は、何かで溶いて液体にしないと投与できません。
元々液体の薬であれば、カサを増さないと投与できないものもあります。
そこで使用するのが「生理食塩水」や「ブドウ糖液」という液体です。
それらを用いて溶解し、投与するときに「配合変化」が起こることもあります。
上の看護師さんと薬剤師の話は、点滴の組み合わせについて相談されている場面ですね。

なんとなくわからなくなってきたぜ☆
配合変化が起こると
・ルート(点滴を流しているチューブ)をつまらせたり
・色が変わったり
・薬効が落ちたり
と問題になります。
皆さんに投与されている点滴たちは、このチェックを突破した
「安全な組み合わせである」ことを覚えててください^^
実際に点滴を投与する
点滴バッグに薬を注入し、患者さんのベッドサイドで準備し、投与するのは看護師さんの仕事です。
今まで書いてきたように、多くのチェックポイントを通り
安全な投与ができるように仕事しています。
看護師さんたちは、限られた時間の中で、
処方内容や投与タイミングを確認しながら、正確に点滴を準備しています。
安心して点滴されてください^^

薬剤師は何してんのよ!看護師さんに任せっきり?

投与された後も薬剤師は副作用の確認や、薬の効き目が出ているか確認しに行きます。
確認ばかりの薬剤師ですが、
薬剤師も点滴を混ぜるときがあります。
それは・・・
無菌調製が必要な薬剤は薬剤師
です^^
これに該当する薬剤は
- TPN(高カロリー輸液):多種類の栄養成分を正確に混ぜる必要があり、清潔管理が重要
- 抗がん剤:ごく微量のズレが命に関わることもあるため、専用の設備(安全キャビネットなど)で薬剤師が調製
です。
頭の片隅に入っていると嬉しいです
長々離してきましたが、今日のまとめです^^
まとめ:点滴1本にも、チーム医療の連携
もしかすると皆さんは
「点滴ってただの水でしょ?」と思っていたかもしれません。
水にどんだけ時間がかかるんだよと思うかもしれませんが
今まで書いてきたようなチェックが必要だから
投与するまで時間がかかるんです。

おまたせして本当にすみません。
皆さんに安全に届けるように、しっかりかつ早くチェックしていきます。
患者さんに届く“透明な1本の液体”の背景にたくさんの仕事があると覚えてもらえれば嬉しいです^^
このシリーズでは薬剤師や医療スタッフの「見えにくい仕事」を
できる限りわかりやすくお届けしています。
他の記事もぜひ読んでみてください!
ではこのへんで。
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