【病院薬剤師】喋れない患者に介入する:初回
こんにちは^^
いつもアルココブログを御覧いただきありがとうございます。
みなさんSが取れない患者さんにどのように介入されていますか??
したの図のような患者さんです。


◯◯さーん。こんにちはー。

・・・・・・
※一般的な高齢慢性期の患者さんと考えてください。
※若年性でてんかん、精神疾患などで発語無しという場合はあてはまりません。
ではやっていきましょう!
患者設定
85歳女性。150cm、BW45kg。
【経過】
・誤嚥性肺炎にて入院。SBT/ABPC 3.0g q8hrで加療。
・Alzheimer型認知症があり、意思疎通が取れない。
・ADLベット上
・内服薬は懸濁し、傾向から投与中も、ST評価にて、嚥下は危険と判断され中止。
・栄養投与経路について【CV(ポート、PICC) or 胃ろう】の検討が必要。
【社会背景】特別養護老人ホーム入所中
【使用薬剤】
・ビソノテープ4mg
・パレプラス500mL×2本
【併存疾患】Alzheimer型認知症、高血圧症、慢性心不全(HFrEF)
【腎機能】eGFR139.34mL/min/1.73m2 CCr91.31mL/min
【バイタルサイン】HR100 /min SBP140/DBP90
【排尿・排便】フォーレ・おむつ
と、結構あるあるな患者さんを模擬患者として書いてみました。
胃ろうであれば施設に戻れますが、CV or NGでは慢性期の病院になりそうです。
使用している薬剤も大したものはなく、意思疎通が取れない。
さてどうしようか
というシリーズです^^^
この内容が若い先生方になにかお役に立てれば嬉しいです^^^
いちばん大事なこと
Sが取れない患者さんの病室に行く「勇気」です。
看護師さんから変な目で見られるかも?
そんな事気にせず、「勇気」を持って病室に行ってみましょう。
薬を使っているのであれば、その効果を確認するのが薬剤師の仕事ですよ^^^^
処方内容のチェック(O情報)
と言うことで、まずは薬のチェックをします。
- 内服薬
内服薬はありません。
貼付剤で、ビソノテープ4mgを貼付しHR100程度です。
ビソノテープは必要か?と言う考えもありますね。
降圧効果はありませんので、気休め程度でしょうか。
極端にHRが下がってくれば、中止も検討ですが
剥がした後も一定期間効果が続くと考えられるので注意ですね(リンク先)。
ちなみに、ビソノテープ4mgはビソプロロール錠2.5mgに相当しますね(リンク先)。
内服、懸濁液の服用が難しいため、高血圧症の対処療法はできていません。
このまま何も使用せずに粛々とになりそうですね。
- 抗菌薬
ABT/ABPC 3.0g q8hrを投与しています。
喀痰培養を提出しているので、その結果を見て抗菌薬の選択が必要ですね。
嫌気性菌のカバーが必要かは諸説あるので
この症例でもSBT/ABPCではなくCTRX2g q24hrでも良い気もしますが
CTRXの胆石症には注意したいですね(リンク)。
- 腎機能
腎機能は過度に良い値になってしまっているので、なんとも判断できません。
そこで腎機能評価においてScr0.6を代入する
ラウンドアップ法を使用する方法もありますが
これは良いとか悪いとか様々な意見がありますよね。
本症例でSCr0.6を代入するとCCr48mL/min程度になるので
過度に良い値から、ちょっと参考にできるレベルになるかもしれません。
個人的には、SCr0.6を代入した結果の「数字」で評価というよりは、
このあたりの腎機能なんだろうなと想像する手助け程度に使っています。
蓄尿は面倒ですしね。
- 栄養
栄養は現在絶食。CVや胃ろうが無いため、末梢からのパレプラス投与のみ
1日400kcal程度、脂肪無し。
長期的なパレプラス投与はCRBSIのリスクにもなりますので、
看護師さんの清潔操作を期待したいところです(リンク先)。
また、一日の総カロリーはだいたい30kcal/kgと考えられますが、到底及んでいません。
また患者の方針(施設or病院)が決まらないうちはPPNからの脱却もできません。
このあたりの情報、知識的なことは
病室に行かずとも分かりますね。
一人でカルテから情報収集が難しい場合は「看護師さん」「MSWさん」と
情報共有しあって、補完しましょう。
まとめ
このように大した薬を使用していなかったとしても
処方内容だけで考えることはたくさんあります。
患者さん自身はほぼ毎日変わりませんが、周りの状況は変わっていきます。
例えば、上記栄養の項目で
退院先が病院に決まり、CV挿入となりました。
その後、TPN製剤を始めたところ、高血糖となりインスリンの混注を相談されたとして
ブドウ糖何gにインスリン何単位か分かりますか?
確か5g〜10gに1単位が安全といいますよね。
本題からずれましたが。。笑
次回は上記の情報を元に実際の病室で診るポイントについて
ブログを書きたいと思います。
※最新の文献などを参考に記載していますが、及ばない部分も大いに存在します。当ブログの内容を元に行った医療によって生じた問題に対して、当ブログは一切の責任を負いません。
↑についてよろしくお願いいたします。
顔の知らない、どこぞの薬剤師が書いたブログですからね。
内容の真偽はご自身で確かめてください^^^^
ではまた!